犬はリーダーを欲しがるくせに、リーダーがいないと自分がリーダーになろうとする不思議な本能を持っています。
当然リーダーになった犬は群れを守るために気が休まる暇もなくストレスがかかり、かわいそうな一生を送ることになります。
家庭の中でも(人が判断すると)ワガママで手の付けられない犬になってしまいます。
犬のリーダーとは
室内犬を飼っていると、犬が家族の行動をジッと見ていますから、犬にしてみれば観察する時間が長いといえます。
日常のちょっとしたことでも、
「あれっ!私のほうが格上じゃないの?」
と誤解させることになりますから注意しましょう。
現代の忙しい生活では、犬から見た「群れの秩序」が保ちにくいのも事実です。
例えばこんな話があります。
夫婦と子供二人の4人家族に犬が一頭という、よくある普通の家庭での出来事ですが、
お父さんは仕事が忙しくて帰宅は夜遅くなってからの毎日でした。
家族と犬は先に夕食を済ませて子供たちが寝てから、お父さんが帰宅して夕食を摂っていました。
ある日、お父さんが帰ってきたところに、お母さんが子供の教育について話しを持ちかけ口論になりました。
それをジッと見ていた犬は、
いきなりお父さんを襲い腕に噛みつきました。
どうしてこんな事が起きたのでしょうか?
犬は人に友好的なゴールデン・レトリバーでした。
多分、犬がつけた群れの格付けでは、
お父さんは犬より下だったんでしょうね。
「お母さんが最後にご飯を与えるのはお父さんだ。」
「だから、お母さんはお父さんより格上だ。」
「そのお母さんに歯向かうとは・・・」
こんな風に思っていたに違いありません。
外で夜遅くまで群れのために働いているなんてことを、犬は知る由もありません。
私が調べた範囲では、ご飯をくれるから一番上のリーダーだとは思わないようです。
お母さんの言うことを聞かないこともあるので、単なる食事係だとしか思わないケースもあるのでしょう。
リーダーの振る舞いとは
では、犬より上の格付けになるには、
普段の生活でどんなことを注意したらいいのでしょうか?
◎ 食事は、ほんの少しだけでも家族が先に食べる。
◎ 人が通りたい所に犬がいたら、そっとどかせる。
(犬をまたぐことは×)
◎ ソファーなどに乗るのを許しているのなら、人が座るときは犬をどかせる。
(犬の横に座るのは×、できれば犬専用のソファーを用意する。)
◎ 犬が甘えてきても「オスワリ」などをさせてから撫でる。
◎ 犬のオモチャで遊ぶときは、人が始めて人が終わりにする。
(犬が飽きるまで遊ばずに、早めにオモチャを取り上げて切り上げる)
◎ 散歩などで一緒に出入りする時は人が先。
(家だけでなく公園などへの出入りも)
あまりたくさん書いても覚えきれないでしょうし、「したりしなかったり」だと犬が混乱しますから、最低限これだけは守ってください。
散歩では「犬が人より先に歩かない」ということも重要ですが、交通量の多いところなど危険がなければ先に歩かせてもいいのではないかと私は考えています。
「ツイテ」の練習
しかし、「ツイテ」で「人の横に並んで歩く」訓練ができてからの話です。
「ツイテ」といいながらリードを上か後ろに引っ張り、人より前を歩かせないようにします。
引っ張る時は「グイッ」「ギュウギュウ」引っ張らずに「チョン」とショックを与える程度です。
引っ張り合いはしないでくださいね。
犬は苦しんで逃げようとするので、ますます引っ張りますよ。
ミニチュアダックスなど、椎間板ヘルニアの潜在的疾病がある犬種ではなおさら引っ張り合いは×です。
強引に引っ張るようなら、その場で立ち止まって犬を無視します。
声をかけてもいけませんし、目を合わせてもいけません。
犬がおとなしくなったら、
「ツイテ」といってユックリ歩き始めてください。
しばらくすると、犬が人を試して少し前を歩こうとしますが、「ツイテ」といってリードを引っ張ります。
その内に犬が根負けします。
犬のしつけは「根くらべ」です。
勝ったほうがリーダーです。
2回や3回で覚えてくれたら「超ラッキー!」くらいに思っていたほうがいいですよ。