犬と殺虫剤

dog-and-man 2011年11月

犬につくノミやダニについて調べていたら、ブログなどで間違った知識を書かれていることがあったので、このメルマガでも少し取り上げてみることにしました。

個人のブログをみていると、家庭用の殺虫剤を犬にかけている人もいるようですが、危険ですから絶対にやめてください。

家庭で使われているスプレー式の殺虫剤や「蚊取り○○」で多く使われているピレスロイド系の薬剤ですが、「家庭用だから農薬ではない、だから安全だ」 と思っていませんか?

そもそも農薬とは何かというと、農業用に登録されている商品というだけで、ピレスロイド系も農薬として売られています。
家庭では原液を水で薄めて、噴霧器で散布するなんてできないですよね。

薄める倍率を間違えたり、誤って飲んでしまったら危険なので家庭用・業務用に分かれているといえば分かりやすいでしょうか。

ところで、家庭用のスプレー式殺虫剤や「「蚊取り○○」」に含まれているピレスロイド系の薬剤は、速攻性の殺虫剤のため、強力すぎて野菜ではまず使うことはありません。

15アールの畑に噴霧器を使って農薬を散布するのには2時間くらい必要ですから、現実的に考えても、そんなに長い時間、人がその中にいられるわけがありません。

アウトドア用とかで携帯できるタイプの殺虫剤が売られていますが、畑には持ち込めません。その成分が万一、野菜などに付着すると出荷できなくなるからです。

卸売り市場や農協は、抜き打ちで残留農薬の検査をしています。

野菜にその成分がついているのが見つかれば、「強すぎる薬剤が検出された」ということで、その産地は主要な卸売り市場と取引できなくなってしまいます。

では、農薬はなぜ弱い成分の薬剤を使っているのかというと、効果のあらわれるのが2~3日後でもかまわないからです。

例えば、ある成虫なら直接虫を殺すのではなく、薬剤で口を詰まらせて餓死させる方法で十分なわけです。

ところが、家庭用の殺虫剤はどうでしょう。

2~3日後に蚊が死ぬような殺虫剤なんて誰が買うでしょうか。

「あの商品は全然きかないわよっ!」なんて親切にご近所さんにも教えてあげたりして(笑)。

薬剤の強さを表す単位として、「経口LD50値」というのがあります。

この数字が小さいほど強力な薬剤なのですが、

ピレスロイド系で720mg/kg、

農薬で使う薬剤の中でも、滅多に使わないほど強力な部類に入るキノキサリン系で5000mg/kg です。

これだけ弱い薬剤でも、岩手県ではキノキサリン系の使用を推奨していません。

単位がmg/kgなのは、体重が軽いほど体への影響が大きいことをあらわしています。

家庭用の殺虫剤は人間の体重を基準にして、水などで薄めているはずです。

犬やペットのことは考えていません。

ある商品の成分表とキノキサリン系の農薬成分を比べてみたところ、農薬のほうが薬剤自体の強さが1ケタ弱く、しかも使用量は半分でした。

岩手県では、農家やその年の天候にもよりますが、トマト1個あたりで考えると、これより弱い薬剤を2~3回かけることになります。

ピレスロイドは空気に触れた瞬間に人体には無毒になるといわれていますが、スプレー式の殺虫剤を誤って吸い込むと、目まいや嘔吐の症状がでます。

生物の神経系統に影響を与えるので、このような症状がでるのですが、本当に空気に触れた瞬間に、人体にとって無毒になるのなら、どうして目まいや嘔吐の症状がでるのでしょうか。

不思議です。

なので、我が家では「蚊取り○○」やスプレー式の殺虫剤は一切使っていません。

どれだけ強い薬剤が含まれているか、成分表をみて分かっているからです。

「私が来たときだけは「蚊取り○○」を使って!」と、わざわざ持ってきた人がいるので、その人が来たときだけは仕方なく使いますけど(笑)。

最初の話に戻りますけど、

これほど強い殺虫剤を犬にかけるなんて、私からみれば動物虐待です。

ピレスロイドは、口からだけでなく皮膚からも吸収される種類の薬剤です。

絶対にマネしないでくださいね。

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